【映画レビュー】ブルゴーニュで会いましょう

先日、渋谷のBunkamuraで、映画を観てきました。
「ブルゴーニュで会いましょう」
という、名前で全てがわかるような、ワイナリーを舞台にしたフランス映画。
ワインについて気になる方は是非観てみるべき映画。今回はネタバレを含むレビューのため、ご注意下さい。

※ネタバレを含むセクションに「※ネタバレあり!」としています。

映画『ブルゴーニュで会いましょう』公式サイト

「ブルゴーニュで会いましょう」

これは2015年製作のフランスの映画。
タイトルの通り、フランスのワインの2大銘醸地の一つ、ブルゴーニュが舞台。
「フランスのワインが作られている場所ってどういうところなんだろう?」

「ブルゴーニュを舞台にした映画、ワインを題材にした映画が観たい」
「コート・ドール(黄金の丘)が見たいのだ」
という人にはひたすらにオススメ。

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簡単な紹介

主人公はシャルリ・マレシャルという男。
ブルゴーニュの歴史あるワイナリーの生まれだが、伝統と父フランソワに縛られることを嫌い、20歳で家を飛び出しパリに出てきた。現在は著名なワイン評論家として名を馳せている。
ブルゴーニュの実家は経営不振で買収寸前。両親フランソワとマルグリットは離婚し、父フランソワは畑への情熱を失ってしまっている。ワイナリーは妹マリーの夫マルコがなんとか続けているという、崖っぷちの状況だった。
父と伝統に反発しパリに飛び出したシャルリは、それでも自身の先祖たちへの敬意からワインの世界にとどまっていた。

しかしいま、先祖たちが続けてきた、家族の思い出の畑が失われようとしている。
だがシャルリはワイン評論家としては一流でも、造り手としては素人。何度も悩んだ末、ワイナリーの再建をしようと決意する。
父と対立しながらも妹マリーと義弟マルコ、
そして一流ワイナリーの隣人モービュイソン家の娘で、幼馴染でもあるブランシュの助けもありながら、伝統的な農法、ワイン製法を取り入れて再建に取り組む。
やがて一つにまとまっていく家族。そして出来上がったワインは…。

感想(※ネタバレあり
全体

コート・ドール(黄金の丘)やクロ・ヴージョ城など、ブルゴーニュの美しい風景が広がり、終始スクリーンが綺麗。パリのシーンも趣があるのに、主舞台のブルゴーニュと比べるとやっぱり無機質に感じてしまう。キャストも実力派俳優揃い。

ワインのことを少しでも知っていて、そのウンチクが厭味にならない世界を観たいという人にもオススメ。

最後について

最後そんなうまくいっちゃうんかい!っていうツッコミがすべてかな。まあ、そりゃ映画ですしね。
でも馬やシートはいいとして、ローマ時代の壺使ったり、破砕も踏んでやったり…しかし最初からビオでやって、うまくいっちゃうのかよ。笑
買収まで1年しか猶予が無いとはいえ、たとえサクセスストーリーでも数年かけてなんじゃないか?と思った。
あと、何度も延期してようやくヴァンダンジュ(収穫)に至って、ぶどうが入ったばかりの醸造所でキミたちは何を愛し合っているんですか。しかも不倫。

というわけで、ストーリーは凡庸でした。
ブルゴーニュが舞台でワインが主役っていうことで全て成り立ってます。

その他で印象的だったのは、真っ暗なパリの自室で、おじいさんが作った1945年CORTONのエチケットを眺めて、ワイナリーの復興を決意するシーン。
これは飛び出した家に戻る、シャルリの決まりが悪い思いが移入してくる場面。

そして映画のガイドにはALOXE-CORTONの文字。
この映画の原題は「Premiers Crus」(1級畑)

シャルリはワイナリーに戻るきっかけとなった特級畑(グラン・クリュ)のCORTONではなく、1級(プルミエ・クリュ)のALOXE-CORTONを作った。
そこがなんか、なんだろう、いいなあって。ちゃんと言葉に出来ない。笑

テイスティング

作中の仕草の中から、テイスティングについて取り上げてみたい。
※若干のネタバレです。

ブラインドテイスティング

映画冒頭、シャルリはテイスティングをして、自身のワイン評価本に載せるワインの点数をつけている。試飲する大量のワイン。そのボトルは、全てエチケット(ラベルのこと)は隠されて番号が振られている…つまりこれはブラインドテイスティング
どこの何のワインかを知らずに、注がれたそのワインだけで、評価するというもの。
多くのワイン評価や、品評会で行われているほか、ワイン資格の実技試験でもある。

銘柄がわかってしまうと、そのワインのそれまでのヴィンテージの評価にひっぱられて正しいテイスティングが出来なくなるため、エチケットを隠す。
このシーンでは普通のワイングラスが使われていたけど、ブラインドテイスティング用に、黒い不透明のグラスもある。色も見せない、鼻と舌で判断しろ!という試練ですね。鼻炎持ちの私はどうすればいいの。

グラスを傾けて何を見る

作中では何度もワインを飲むシーンがある。
冒頭のテイスティングフランソワが自分の初めて作ったワインを飲むシーン
エディットのワインを飲むシーン
最後に家族でシャルリの初めてのワインを飲むシーン…
いつもグラスを傾けて、くるくる回してから飲んでいる。

理由の一つには、くるくる回すのは空気に触れさせるため。
ワインの香りが開くといいます。以前書いたはず。
では、傾けたときに見るのは何か。
ワインのと、

色をみる

本作ではひたすら赤ワインなので赤で説明します。
まず良いワインかどうかは、色で判断する。
傾けることで、ワインをグラスの向こう側に透かして色を見ることができる。
そのため、テイスティング時は白いシートやクロスを下に敷き、その上でグラスを傾けることで色合いを見る。

さて、赤ワインには色の傾向があります。
オレンジや茶色がかった赤

若いワインほど紫っぽさがある。
そしてほどよい熟成加減だと紫っぽさが落ち着いて深い赤に。
やがて熟成が進むほど茶色っぽく、琥珀や飴色っぽい要素が増えていく。
暖炉の前でシャルリに勧められたワインが、かなり飴色が混じっていたことを見て、フランソワは飲む前に「古いワインだな」と言ったわけ。

次に、色の濃さ
細かくはブドウの品種によって異なるが、
冷涼な地域で育ったブドウのワインは色が薄く、
温暖な地域のブドウで作るワインは濃い色になる傾向にある。

薄いというのはピンクということではなく、また濃いというのも濁っているわけではない。
ガラスの半透明と不透明をイメージすればわかりやすいかな。

例えば、同じイタリアでも、ピエモンテ州(トリノがある北のほう)のワインと、南部のサルデーニャ島のワインとでは色が全然違う。
ピエモンテと言ってバローロはやや濃い目の色なんですが、それでもサルデーニャのワインの果実感のある濃さとは比較にならない。バローロは濃いけど透明感があるような。

涙をみる

次に
ワインが入ったグラスを傾けて、またまっすぐに戻してみてください。
すると、さっきまでワインの縁があったところから、ゆっくりとしずくが垂れていくと思います。
これが”涙”。

ワインにはアルコールが含まれているから粘度が生じており、ゆっくり落ちていく。
同じワインでもアルコール度数が高い方が、涙が長く残ると言われています。
同じ動作を水やウォッカでやってみるとよくわかる。
しっかりアルコール発酵しているか、果実が熟しすぎていなかったか、など。

飲み手がやる必要あるの?

これらの作法は、ワインを飲むときに必ずやらなきゃいけないわけではない。
彼らがワインの評論家であり、ワイン造りのプロだから、飲むたびに見定める必要がある。
でも、ワインは作られた年によっても出来が違うし、同じヴィンテージでも、2010年に飲むのと2016年に飲むのでは味が変わる。
なので、今から飲むこのワインはどんな具合かな?と最初に確認してみるというのは、もう一歩ワインを楽しむうえであってもいいプロセスとも言えそう。

ワインが好きなら詳しくなくても観てみて

ワインが好きな方、ワインが気になってる方にオススメ。
それが飲み物としてでも、文化としてでも、どちらにしても楽しめると思う。
後半でテイスティングをピックアップしたけど、それ以外にも造り方や畑の立地など、製造という観点でも掘り下げる要素は沢山ある映画です。
その他にもフランスらしさ(?)も感じられるし。

(追記)
この映画、Amazonプライムで観れるようです。

ブルゴーニュで会いましょう

 

 

 

 

2 Comments

  1. ブルゴーニュ好きにはたまらない映画でした。どちらかというと、畑やワインに注目してしまって、あまり考えずに映画を見てしまいました。見てると飲みたくなりますね。笑
    さて、本編についてですが、確かに、私も最後に出てくるワインが1erなことに違和感を持ちました。あれだけコルトンを出していたのに…。ただ、思い返してみると、この映画のテーマは「家族」だということ。ワイン作りは家族で行わなうものという言葉が、印象に残ります。
    そこで、亡くなった先代の言葉がヒントになりました。畑はそれぞれ、村名以下が造り手の力量、1erが造り手と畑の力、グランクリュが畑の力が存分に出るものという内容だったと思います。この畑は家族の思い出の象徴として描かれていて、家族がまた一つになり、ワイナリーが再建する象徴として、1erを描いたのではと思います。つまり、人の力と畑の力、それぞれが力を発揮して、一つになることで最良のワインが生まれる、ということです。この描写こそが、最後の1erであり、家族が一つになった象徴なのだと感じました。

  2. ひろさん
    コメントありがとうございます!
    「家族」。確かにそうですね。ワインばかり見ていて全体を包むこのモチーフについて言及していませんでした。
    ばらばらになってしまった家族を、おじいさんがのこした畑、それもワイナリーの力が試されるプルミエで描いているんですね。そういうモチーフがある、とわかるとまたニヤリとできますね~。
    ただ、直接的には余り示されていなかったので、「グラン・クリュは??」と思ったりもしました。

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