ヌーヴォーってなんだろう

こんにちは、跳ねる柑橘(@hoppingnaranca)です。

ボジョレー・ヌーヴォーが2016年は11月17日に解禁されます。(2017年は11月16日でした)
毎年、百貨店のお酒売り場やスーパー、コンビニでチラシやポスターが貼られていますね。

早ければ8月くらいから。早すぎじゃないかね、とも思います。果たして日本中が本当に熱狂しているのかはともかくとして、今回はヌーヴォー(新酒)についてです。

(目次)

ヌーヴォーって、なに

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What is ヌーヴォー?

そもそもヌーヴォーとはなにか。
これは“Nouveau”というフランス語で「新しい」という意味の単語。

英語の「New」
イタリア語の「Novello」
スペイン語の「Nuevo」に相当します。

つまりヌーヴォーは新酒ってことを指します。

アール・ヌーヴォー という言葉もありますね。
これは19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパに流行した芸術のトレンド。
アールはフランス語の”art”で芸術、アート。そのヌーヴォーだから、当時でいう新芸術、ということでしょうか。

ボジョレーって、なに?

ではボジョレーとはなにか。
“Beaujolais”と書き、ボージョレ、ボージョレーなどとも訳されます。これはフランスのワイン大生産地であるブルゴーニュ地方の、南部にある丘陵地帯のこと。

そこで作られる、ガメイ種(ガメ種)という黒ブドウで造った赤ワインを、ボジョレー・ヌーヴォーと呼びます。(最近は白ワインやロゼ、スパークリングもあるけど、本家は認めてるのかなあ……)
畑の位置や製法、ブドウ品種などに厳しい条件があり、それを満たしていないと新酒であろうがガメイを使っていようが、ボジョレー・ヌーヴォーと名乗ることはできません。
こういう厳しい条件はフランスをはじめヨーロッパや他のワイン生産国でも設けられており、原産地呼称統制制度(AOC、DOCG)とかいうものです。

これは、
その場所で、そこの造り方のルールに則って造られたものです!
ということの証明。

ざっくり言うと、ボジョレー地区以外の畑で獲れたブドウで造ったのに、ボジョレー・ヌーヴォーと名乗ってはいけない、ということです。
こういう制度はワイン以外にチーズなどの農作物にもあります。

そして、細かいんですが…
「ボジョレー地区」(基準を満たせばボジョレー・ヌーヴォーって名前で売ってイイよ!って言われてる地区)のさらに内側に、「ボジョレー・ビラージュ」という一帯があります。ボジョレー村です。
そこで作られたものについては、より細かな「ボジョレー・ビラージュ・ヌーヴォー」という名前のラベルが貼られます。

「ボジョレー・ヌーヴォー」はボジョレー・ビラージュの外側の畑のブドウも使えますが、「ボジョレー・ビラージュ・ヌーヴォー」は、ボジョレー・ビラージュという地区のブドウ以外は使えません。
そういう意味では、確実にボジョレー・ビラージュ内の畑で作られた品質的にある程度保証されたブドウで造られたワインだ、というお墨付きがあるわけです。

お店によっては、これを「ボジョレー・ヌーヴォーの中でも高級な逸品!」
などということもありますが、原産地呼称で言うとより厳格なだけであって、出来栄えとして必ず高品質だとかは言えないです。

※AOCにも場所ごとにルールがあり、必ずそこの地区の畑のブドウを100%使わないといけない!というものから、75%使ってればOK、といった場合もあります。

どんなワインなのか

特にワインにおいて新酒とは、その年に獲ったブドウを発酵させて、ワインとして出来上がったばかりのもの。
つまり2016年ヴィンテージのボジョレー・ヌーヴォーは、2016年の秋に収穫したばかりのブドウを2か月程度の発酵期間で醸造した、ワインとして出来立てほやほやのもの
これを作る意味はいくつかあります。

1.その年のブドウの出来栄えを判断するもの

乱暴な言い方をすると、その年のワイン(ブドウ)のです。
皆さんがスープやシチューを作る時、諸々の行程が済んで、さあ塩加減はどうかな?と、味見をすると思います。そこで、狙った味に近づいたか、やっちまったかも判断しますし、「ああ薄味だな、塩を足そう」とか、「スパイスが欲しいな」とか、「イモに味がしみてないな、寝かさないと」というように味を判断して、それに伴って塩やコショウを足したり、一晩寝かせたり、もう数時間コトコトと煮込んだりするでしょう。
ボジョレー・ヌーヴォーは、本来はこの「味見」なんです。
ワイン生産者はそれぞれ、こういう味わいのワインを作るんだ!と、作るワインの味の方向性に個性を持っています。
それを大前提にして、その年のブドウの出来栄えから、今年はこういう味わいになるかな、こんなワインを目指そう、と考えて仕込みます。夏がメッチャクチャ暑いか冷夏で日がささなかったか、雨が降ってばかりだったか、畑が干からびる勢いで少雨だったか。こういう気候の違いでブドウの出来栄えは変わります。これらを加味して、自分らしいワインを目指して作ります。

が、実際どんなもんが出来るかは、ワインにならないとわからない。

なので、それを確かめるための味見なんですね。
どんなもんかがわかれば、普通の、熟成させて出すワインの方針も決まる、というわけです。

2.今年のワインができたぜー!というお祝い的な意味合い

ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は11月の第3木曜日
2016年は11月の17日です。(2017年が11月16日)
なんでこの日なのか?これはフランスのワイン法の事情があります。

まず、フランスのワインといえば、ボルドーの複雑な味わいでフルボディって印象ですが、フレッシュな新酒も意外と人気。
(なお、ボジョレー地区があるブルゴーニュの赤ワインの特徴を端的に言うとフルーティーで華やかでエレガント、というボルドーワインとは違う特徴があります。なのでフランス=ボルドー=フルボディというイメージが実は間違い)

その意外なフレッシュワイン人気ともう一つ、今年のワインが出来た~!というイベントです。
ワインを作る農家の人たちの、仕事が済んだぜ!というお祝いです。初物ですね。なので、業者は我先にと売り始めるわけですが、
そんな早く出したもん勝ちみたいな状態だと、中にはワインになりきる前のよくわからん汁(!)の段階で売りに出す輩も出てくる。しかしワインは文化ですから、フランスさんそれは許さない。

新酒だけどしっかり作ったもんを皆に飲んでもらいんしゃい!

ということで、最初は11月15日に解禁日を設けたそうな。
ただ、そうすると日曜日との兼ね合いが出てくる。

日本のハッピーマンデーみたいなものです。
(XX日にOOの日って決めたけど、XX日が週末にきたら休みはどうするんだ!⇒第X月曜日をOOの日にします。っていう近年のアレ)

フランスはカトリックの国。しかもちょっと昔の話。
現代日本なんか比べ物にならないくらいに、日曜日は業者さん動きません。業者はおろか店も開かない。
なので、15日が日曜にあたるのを避けるため、(なんで木曜日なのかは忘れましたが)第3木曜日にしたわけです。

普通のワインとの違い

そして、普通のワインとボジョレー・ヌーヴォーには大きな違いがあります。
それは製法と、飲み頃。

製法

普通の(赤)ワインは、ブドウを破砕(潰す)して、果皮の成分と果汁を絞りだしてから発酵させます。
一方のボジョレー・ヌーヴォーはというと、マセラシオン・カルボニックという製法で作ります。
ややこしい話なので作り方に興味がないからはとばしてください。

これは、
①ブドウの果実を破砕せず、どんどんタンクに放り込む
②上にどんどん積まれる果実の重さで下の果実が潰れ、勝手に発酵が始まる
③発酵が始まるとCO2が出てタンクに充満する(酵母のはたらき)
④潰れていないブドウの細胞内部で、酵素の働きでリンゴ酸(ワインに酸味を与える成分)が分解され、アルコール、アミノ酸、コハク酸などのワインに必須の成分が生成される
⑤葡萄の皮からも成分(とくに色素)が浸出する。
というもの。

キモはつぶさないことと、CO2が充満することです。

この製法のメリットは、
・果皮から色素は十分出るけどタンニンは少な目(=ライト~ミディアムボディな味わい)
・炭酸ガスのおかげでタンク内での酸化が防がれる(=フレッシュ
です。新鮮な味わいで飲めるということです。

あと、ボジョレー・ヌーヴォーはしばしば「バナナみたいな香り」がする、といいます。
これはこのマセラシオン・カルボニック製法の特徴。酵母の作用で出てくる香りで、熟成と共に落ち着いていくものですが、発酵させて即出荷となるので、この香りが残ると言われています。
……吟醸香みたいなもんでしょうか。

飲み頃

普通のワインと違い、新酒の飲み頃は出来てから3か月くらいと非常に早く、また足が速いです。
製法の影響か、ガメイ種の影響か、恐らくどちらも関係しているのでしょうが、普通の赤ワインの様に長期保存、熟成には向きません。旬の飲み物として、忘年会やクリスマスには飲み干すのが良いかと。なお、ときどきですが、わざわざ熟成させたヴィンテージのボジョレー・ヌーヴォーを出してるブランドもあります。(それ新酒じゃねえじゃんという突っ込みはいけない)

例年の売り文句と日本での人気

さて、ボジョレー・ヌーヴォーといえば、「100年に1度の出来栄え!」のような大仰なキャッチコピーですよね。お前の100年は皆の1か月かなんかか?みたいな、尺度が意味不明なこともあります。これは、まあ、良いことを前に出すとこうなるんですよね。

sk-imedia.com

日本の担当者って誰なんだろう?大手代理店さんか、輸入業者さんでしょうか。
ちなみに、上のリンクで出来栄えトップ10として出していますが、実際に2009年、2010年、2005年、2006年は、フランスのブルゴーニュ地方のワインにとってはとても良いヴィンテージです。
この時期のワイン(ヌーヴォーじゃなくて、普通のワインですよ)は、ヴィンテージだけ考えて言ってしまうと、当たりです。
ボルドー地方やイタリアなんかも2009年、2010年は良いヴィンテージです。
なので、このキャッチフレーズの仰々しい表現は、あながち外れてもいないのかもしれない…。笑

なお、ボジョレー・ヌーヴォーは日本が相当な量を消費しています。なんと世界全体の25%は日本で消費(購入)されているとか。
かつてバブル景気の時代に第何次か忘れましたがワインブームがありまして、その頃からボジョレー・ヌーヴォーは広く知れ渡っているようです。その名残、そして初物好きなかんじがそれっぽいですね。
また、日本の立地が、日付変更線に一番近い先進国(=ワイン市場)であるため、世界で一番早くボジョレー・ヌーヴォーが飲める!みたいな、マーケティング的にも成功したんですね。

イタリアの新酒”Novello”

さて、ワインで新酒を市場に出しているのは、何もボジョレーだけではありません。
最初にヌーヴォーの意味を書いたところであげた、ノヴェッロ “Novello”というワインもあります。
ヴィーノ・ノヴェッロ “Vino Novello”などとも言われるこのワインは、新酒としてボジョレー・ヌーヴォーと類似するところもありますが、色々な違いがあります。

解禁日は10月30日

2016年だと日曜日なんですが、イタリアの法律で2011年から10月30日となっています。
ボジョレー・ヌーヴォーより一足早いですね。

種類が豊富

ボジョレー・ヌーヴォーは、造り手こそ複数あり、その意味でバラエティに富んでいますが、作る地区はボジョレー地区、使うブドウはガメイのみ、と、割と定義がしっかりとしたワインです。

一方でノヴェッロは、イタリアの全20州で生産されています。
また使用されるブドウは60種類以上。各生産地の特色ある品種が使われます。赤ワインが有名ですが、白ワインやロゼワインも造られています。
イタリアのワインは、北部は重厚で味わい、トスカーナなどは飲みやすいもの、南部やシチリア島などの島はフルーティーでスパイス感があって…というように、土地柄が現れています。

新酒であるため、例えばキャンティ・クラシコ・レゼルヴァやバローロみたいな、重厚で格式のある味わいではなく、ボジョレー・ヌーヴォーと同じく「味見のワイン」であるため、北部のワインと言ってもそこまで重厚ではないです。

よりカジュアル

これは私の主観ですが、ボジョレー・ヌーヴォーは、今でこそコンビニでも買えるワインとなりましたが、バブル期の名残でパーティー感や、どこかおフランス感が残っていると思います。
一方でノヴェッロ、というよりイタリアワインは、日本でのイタリア料理の普及っぷりを見ても明らかなように、比較してよりカジュアル。
そして、何と言ってもこれは私の持論ですが、

そこの料理に一番合うのはそこのワイン。

つまりイタリア料理に一番合うワインはイタリアワインであり、一番合う新酒はノヴェッロだと思うのです。
私がこんなこと熱弁しなくても、街中のイタリア料理屋さんは、11月頭には「ノヴェッロはじめました!」とお知らせするでしょう。
なので、11月にちょっとおしゃれカジュアルにイタリアンでも、という機会があれば、ノヴェッロを是非ご検討ください。

国産ヌーヴォー

そして、近年どんどん高評価を挙げている日本ワインの新酒についても。
恥ずかしながらあまり詳しくありませんので、こちらのサイトの情報を参考に書かせて頂きます。

www.meimonshu.jp

日本国産の新酒ワインの解禁日は、2016年は11月3日だそうです。
山梨や長野、北海道といった有名なところから、熊本や宮崎でもワイン造りが行われている日本。
ヌーヴォーの特徴ではないのですが、一升瓶に詰められたワインがあるのも、日本ワインの特徴です。

また、コンテナ船で長い旅をしなくて済むことから、酸化防止剤無添加のワインも、日本ワインではよく目にしますね。そこらへんが気になる方にとっても、日本ワインは注目に値すると思います。

ブドウはやはり日本ワイン。
デラウェアや甲州、マスカットベーリーAなどを使っており、フルーティーなワインが多いようです。
ボジョレー・ヌーヴォーもそうなんですが、フレッシュでフルーティーなワインが飲みたい方には、おすすめです。

まとめ

ボジョレー・ヌーヴォーあるあるから、ちょっと目線を変えたお話までできたのではと思います。
また、イタリアのNovelloと日本の国産ヌーヴォーを取り上げましたが、最後にスペインの新酒””Vino Nuevo”(ヌエボ)についても少々。

近年街中でも増えてきたスペインバルで、スペインバルのおつまみ、タパス(ピンチョス)とともにヌエボを味わってはいかがでしょうか。
タパス・ピンチョスについてはこちらの記事もどうぞ。

タパスとかピンチョスって、なに

ヌエボの解禁日は11月11日。
スペインでは聖マルティンの日という祝日で、伝統的に収穫祭を行うそうです。実はヌエボの解禁日にはもう一つ説があって、それが12月の第1週説。2つの説がある理由は、収穫祭を行う時期が、地域によって多少異なるためだそうです。
ただ、日本では11月11日で解禁するお店が多いのではないでしょうか?
ヌエボの情報はまだ日本ではそこまで多くないので、今後も調べていきたいと思います。

だんだんワインブログと化していますが、他の情報も、発信していきたいと思います。笑

では、¡Hasta Próxima!

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